ART PEOPLE Prof. Dr. Rossella Menegazzo, Head of Culture, Science and Education of the Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka 2025.11.18
Interior view , The Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka, photo by Yuki Seli

2025年大阪・関西万博のイタリアパビリオン 文化・サイエンス・教育部門代表のRossella Menegazzo (ロッセッラ・メネガッツォ)氏。ミラノ大学文化環境遺産学部東洋美術史准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員准教授。

2025年10月16日、Menegazzo氏は「文化プログラムの意義―2025 年大阪・関西万博イタリアパビリオンを振り返って」と題する講演を石橋財団フォーラム(公益財団法人石橋財団主催、東京都、中央区)にて行った。

APTは、日本文化にも造詣が深く、日本とイタリアの Intercultural Communication(異文化交流)に手腕を発揮してきたMenegazzo氏に焦点を当てて紹介する。

Prof. Dr. Rossella Menegazzo, photo by Yuki Seli
Prof. Dr. Rossella Menegazzo, photo by Yuki Seli

2016年、日伊国交150周年事業の一環として、Museo dell’Ara Pacis(アラ・パチス博物館/ イタリア、ローマ)で開催された土門拳の写真展「Domon Ken Il Maestro del Realismo Giapponese」(土門拳 日本リアリズムの巨匠)のキュレーションを担当。この企画展はパリへも巡回し、およそ2万人の来客数を記録した。

2018年から2023年まで、ミラノ大学主催のデザインに関する3つの国際シンポジウム「日本 イタリア 芸術交流とその関係」(ミラノ大学、2018年)、「ジャパン・デザイン 越境のアート」(ミラノ大学、2022年)、「DESIGN + LIFE Interconnessioni」(デザイン + ライフ インテルコネッシオーニ/ 東京・国立新美術館、2023年)をコーディネート。

2024年、それらのシンポジウムの集大成として開催された ADI Design Museum(イタリア、ミラノ)で「Origin of Simplicity: 20 Visions of Japanese Design」展のキュレーションを担当。(展覧会デザインは原研哉)
石橋財団 は上述3つのシンポジウムとシンプリシシテイ展を特別支援)

彼女の多様なIntercultural Communicationの経験値が、次の大きな舞台、2025年大阪・関西万博のイタリア・パビリオンで、総監修者として手腕が発揮されたのだろう。

デジタルではなく、「本物」を体感できるパビリオン
2025年大阪・関西万博のイタリア・パビリオンのテーマは、「L’Arte Rigenera la Vita」(芸術(アルテ)が生命を再生する)。(注:ここでの「アルテ」とは、芸術だけでなく、科学やテクノロジーなど、人間の作るものを全部含めて「アルテ」という。)

パビリオンではその象徴として、イタリアからオリジナルの美術作品《The Farnese Atlas》(ファルネーゼのアトラス)を持ち込み展示した。

単に美しいイメージというだけではなく、現代のイタリアの宇宙科学や、深海技術などのテクノロジーを表すものとして、それらを繋げる一つの中核として、中央にこのファルネーゼのアトラスを展示。

The Farnese Atlas, The Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka, photo by Yuki Seli
The Farnese Atlas, The Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka, photo by Yuki Seli
The Farnese Atlas, The Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka, photo by Yuki Seli
The Farnese Atlas, The Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka, photo by Yuki Seli

現代アートは、Jago(ヤゴ)の《Apparato Circolatorio》(循環器系/ 30個の様々な状況の心臓が円形に並べられて、心臓の拍動を表す)や、Oriana Persico(オリアーナ・ペルシコ)の《pneumOS – the Knowledge of the Air is Open Source》(pneumos(プネウモス)はラテン語で肺の意味/ 空気を分析、インスタレーションにその動きを再現 )など、科学的なデータや事実を表現した作品が展示された。

Jago《Apparato Circolatorio》, The Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka, photo by Yuki Seli
Jago《Apparato Circolatorio》, The Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka, photo by Yuki Seli

今回の万博は、各国のパビリオンではデジタルを使用したコンテンツが多く見られた。
しかしイタリア・パビリオンでは、本物を体感することで得られる感動を重視。

「デジタルでは実際の生きた経験として、体験することはできない」とデジタルの限界も考え、構想を練る段階から「「本物」を実際に見ることができるように」とこだわった。

「例えば旅に出て、何か新しいものに出会って、実際に見て経験する。そうすると、その体験を他の人にも伝えたくなります。」というMenegazzo氏。

イベントだけで終わらない、Visitor’s Experienceを目指した。

Interior view , The Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka, photo by Yuki Seli
Interior view , The Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka, photo by Yuki Seli

「レオナルド・ダヴィンチ、ミケランジェロ、カラヴァッジョなどの作家の作品たちを見て、私たちは、素晴らしいと感じます。しかし、私たちがしなければいけないのは、今生まれている、生まれてきつつある才能に機会を与えてあげることです。
新しい芸術は計算されて生まれてくるものではありません。思考、そして表現の自由がなければ、新しい芸術は生まれてきません。それが今私たちに問いかけられている非常に重要な使命ではないかと思います。」

日本やイタリアで数々のアートの展覧会やプロジェクトにかかわってきたMenegazzo氏からのメッセージ。

CONTEMPORARY ART POWER from Tokyo